2年目の避難訓練を終えて

山中賢治

 平成21年11月15日(日)と11月22日(日)の二日間、昨年に引き続き、今年も四日市市で避難訓練を行いました。
 
 今年は、四日市市保健所保健予防課、四日市市役所危機管理室、四日市市南消防署の協力の下、みえalsの会が主催という形式で行いました。
 
 訓練の目的ですが、災害時には地域の自主防災組織やご近所の協力が欠かせません。人工呼吸器を装着され在宅で療養中のALS患者さんが被災した場合、患者さんの生命を維持するためには、アンビューバッグによる呼吸アシストが不可欠になります。その際、ご家族だけでは人手が足りないことが、過去の大規模震災時での事例より判っており、近隣の方々の支援が必要になります。今回の訓練では、近隣の方々の手で、実際に患者さんを避難場所まで移動させてもらい、アンビューバッグの取り扱いに慣れて頂きました。昨年の訓練は、全国初の訓練実施ということで、まず何をすべきか、どのように実施するのか、という初歩的な議論に終始して、どうにかこうにか訓練を終えたという印象でした。今年は2回目ということもあり、実施内容や段取りには時間を取られず、ケースバイケースの訓練内容を検討する余裕がありました。
 
 11月15日には、中村和彦さん(本会 副会長)の訓練を行いました。 当日の参加者は、近隣の方が21名、私を含めて行政担当者など6名、中村さんと奥様の2名で合計29名が参加しました。まず、朝9時に避難場所の集会所に集合して、私から訓練全般の説明を行い、アンビューバッグの取り扱いの練習をしました。昨年の訓練では、いつも外出時に使用しているベランダから外へ出ましたが、今年は、地震でベランダが壊れた場合を想定して、狭い玄関から出たいとの中村さんご本人からのご要望があり、その計画を実行しました。当日、参加者全員で移動の検討を行いましたが、車椅子に移乗した後に玄関を通過して、三和土の階段を吊って降りるのは、危険であるとの結論になり、別の方法をその場で検討しました。当日参加して頂いていた救急隊に方に、実際の救急出動の際、玄関や廊下が狭小な場合は、どうようにして患者さんを搬出するのか、その方法を尋ねました。そういった場合には、布担架を利用するとのアドバイスをいただき、救急車に積んである布担架をお借りして、中村さんを家外まで搬出しました。玄関先で車椅子に移乗し、避難場所まで移動を行いました。
 
 11月22日には、鳥越佳代子さんの訓練を行いました。鳥越さんの訓練には、近隣の方が23名、私を含めて行政担当者など4名、鳥越さんと御主人、娘さんお二人の4名で合計31名が参加しました。15日と同様に、まず訓練全体の説明とアンビューバッグの取り扱いの練習をしました。昨年の鳥越さんの訓練の日は雨が降っていたため、実際の移動は出来ませんでしたが、今年はお天気も良く、避難場所の小学校体育館まで移動する事ができました。実は昨年、学校の運動場へ降りる所と体育館入口の2カ所に段差があることが判明しましたが、今年8月に四日市市は段差解消のスロープを設置してくれました。体育館に移動した後、鳥越さんの御主人より、“いざという時のために、家内で実際にアンビューバッグの練習をしていただけませんか。”とのお申し出があり、近所の方々にもバッグを押してもらいました。実際に体験された参加者の方は、「人形で練習したのとは、やっぱり違いました。でも、これで、いざという時には私も何とかしてあげられる自信がつきました」との感想を述べられていました。訓練を通して、患者さんと地域方々との繋がりが更に強くなった印象を受けました。
 
 今年の訓練は、昨年の経験もあり、参加された方々も余裕があり、いろいろな事を考えながら行う事ができたように思います。今後、みえalsの会では、四日市市以外の地域でも、希望される患者さんに対して避難訓練を計画していきたいと思っています。
 

避難訓練の写真1 避難訓練の写真2
避難訓練の写真1
 
避難訓練の写真2
 
避難訓練の写真3 避難訓練の写真4
避難訓練の写真3
 
避難訓練の写真4
 
  
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